倍音とは?波形から声を分析してカラオケで差をつけよう! | ざワルーム

倍音とは?波形から声を分析してカラオケで差をつけよう!

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音の科学

「カラオケで上手く歌うには、倍音が大切だ」
皆さんも、このような言葉を聞いたことあるかもしれません。

しかしながら、自分の声に倍音が含まれているかが分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、自分の声をアプリなどで分析すると、倍音を含んだ歌声に近づけると予想されます。

今回は、倍音を物理的な意味から紐解き、音の波形の見方を解説します。

倍音とはどのような音を意味するのか?

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音の物理的な特性は、音の大きさ・高さ・音色によって決められます。
上記の中で、音色はさまざまな音(倍音)の組み合わせによって表現され、同じ大きさや高さの音であっても違う印象を受けることが特徴です。

そこで、本項では倍音の物理的な意味から紐解き、音楽へのつながりを解説します。

倍音とは?

倍音とは、基音の周波数に対して2倍や3倍などの周波数を持つ音を指します。
下の図は、基音と2倍音の波形を描いたグラフです。

上のグラフから、2倍音は基音の1周期の間に2回の周期を持つことが読み取れるのではないでしょうか。
上記は、2倍音が基音に対して2倍の周波数を持つことを意味します。

では、倍音にはどのような波の性質を持つのでしょうか。

例えば、ギターの弦を何も押さえずに鳴らすと、ナットとブリッジサドルの間で弦が振動します。
これが、基音の振動です。
下の図のように、ナット~ブリッジサドルの距離は基音の波長の半分にあたります。

また、弦の真ん中付近を軽く押さえて、弦を弾くと2倍音を表現することも可能です。
上記は、弾かれた弦の振動が、押さえた箇所を支点に2つの波に分かれて、基音の半分の周期を持つ波が発生させます。
そのため、2倍音の波は基音と比べて波長が短くなり、より早い振動つまり、高い周波数が特徴を持ちます。

加えて、同時に押さえる弦の数を増やすと、3倍音・4倍音といったさまざまな倍音を表現することが可能です。
また、倍音は次数が上がるにつれて波長が短くなり、周波数が高くなる性質があります。
ちなみに、倍音を表現するにあたって、弦を強く押さえると弦の振動が押さえた箇所より先に伝わらないので、周期の短い基音が誕生します。

このように、倍音は基音の倍の周期を持ち、基音と比べて波長が短く、周波数が高い波だと言えるでしょう。

音程と周波数の関係

ドレミファソラシドの音階は、”ラ”の周波数を440Hzとして各音階の周波数が定められています。

音階ファ
周波数(Hz)440494523587659699784880
備考:小数点第1位を四捨五入して記載

上の表から、周波数の値が大きくなるほど高い音階を示しています。
これは、ギターのフィンガーボードを押さえると、何も押さえない時よりも周波数の値が大きくなり、高い音を鳴らせることからもわかるのではないでしょうか。

また、”ラ”と1オクターブ上の”ラ”の周波数が2倍になっており、440Hzの”ラ”を基音とすると880Hzの”ラ”が2倍音となると言えるでしょう。

したがって、ある音階をオクターブ分変化させると、整数倍の倍音(整数次倍音)になることがわかります。

倍音の波形にはどのような特徴があるのか?

サインカーブ

スマートフォンの音声分析アプリやオシロスコープなどを用いると、自分の歌声に倍音を含んでいるかを確認できます。
また、アプリで出力される波形を見ながら、さまざまな声を出してみると、どのようにすれば倍音を含んだ歌い方になるかを実験できるでしょう。

しかしながら、倍音を含んだ波形の特徴や周波数スペクトルの見方が分からないと分析や検証ができません。
そこで本項では、周波数スペクトルと倍音を含んだ波形の特徴を解説します。

合成波と周波数スペクトル

声には、さまざまな音の成分を含んでおり、それら成分が交じり合った合成波として聞こえています。

以下の図は、440Hzの”ラ”とさらに1オクターブ高い880Hzの”ラ”を組み合わせて、合成波を作った結果です。

ㇻの合成波

上の図のように、”ラ”の合成波は440Hzの”ラ”と880Hzの”ラ”の両方の周期が混ざり合った波形となっています。

また、周波数スペクトルを確認すると合成波にどのような周波数を含んでいるかを確認することが可能です。
周波数スペクトルは、合成波をフーリエ変換することで、各周波数における音の大きさを表すことができます。

下の図は、”ラ”の合成波の周波数スペクトルを表したグラフです。

周波数スペクトル

このグラフでは、440Hzと880Hzに特徴があることがわかります。
このように、周波数スペクトルを確認すると、ある音にどのような周波数が含まれているかを確認することができます。

そのため、自分の声をアプリを通して周波数の特徴を見ると、声の成分に倍音が含まれているかを確認できると言えるでしょう。

基音と倍音の関係

基音は、「周波数(振動数)が最も少ない音」や「最も低い音程の音」などさまざまな表現が見られます。
上記は、前項で述べた音程と周波数の関係より同じことを表していると言えるでしょう。

では、なぜ最も周波数が低い音が基音と成りうるのでしょうか?
これを紐解くには、基音の定義を知る必要があります。

  • 基音:周期的な音波において、その周期と同じ周期を持つ正弦波成分

上記から、合成波の周期と一致する波が基音であると言えるでしょう。

下の図は、440Hzと880Hzの”ラ”の波形とこれらの合成波を描いたグラフです。

基音と倍音

上の図から、440Hzの”ラ”と合成波の周期が一致していることがわかります。

このように、周期性がある波形では最も長い周期を持つ波形つまり、音程が最も低い音の周期に依存します。
したがって、基音は音の成分に含まれる最も低い音になると言えるでしょう。

整数次倍音と非整数次倍音

倍音は、大きく分けて以下の2つに分類されます。

概要特徴
整数次倍音基音の整数倍の周波数を持つ音明るくクリアな声
非整数次倍音基音の整数倍以外の周波数を持つ音息の混じったソフトな声

以下では、整数次倍音と非整数次倍音を具体的に見ていきます。

整数次倍音

整数次倍音は、B’zの稲葉浩志さんやMr.Childrenの桜井和寿さんが用いていると言われており、明るくクリアな歌声が特徴です。

以下の図は、整数次倍音の波形と周波数スペクトルの一例です。

上図のように、整数次倍音の波形(青)はやや周期性が確認できるものの、どのような周波数を含む音かがわかりません。
しかしながら、周波数スペクトル(赤)を見ると、440Hzの”ラ”を基音として、2倍音と3倍音が含まれていることがわかります。

このように、音声分析アプリを用いて整数倍の特徴をスペクトルが検出されると、明るくクリアな歌声に近づけると言えるでしょう。

非整数次倍音

非整数次倍音は、宇多田ヒカルさんやサザンオールスターズの桑田佳祐さんが用いると言われており、息の混じったソフトな歌声が特徴です。

以下の図は、非整数次倍音の波形と周波数スペクトルの一例です。

非整数次倍音

上図では、整数次倍音と比べてさらに周期性がわかりにくくなっています。
そのため、周波数スペクトルを用いた音の分析が必要です。

今回の波形を分析すると、約490Hz・約590Hz・約1660Hzの周波数を含んでおり、レ・シ・ソ♭の音を含んだ非整数次倍音を示しています。

したがって、この歌声は息が混じったソフトな印象を受けると予想されます。

アプリを使って自分の声を分析してみよう!

歌う

今回は、倍音に関して物理的な意味から紐解き、音の波形の見方を解説しました。
音声分析アプリを用いて、自分の歌声を分析および実践すると、さまざまな倍音を含んだ声を生み出せると予想されます。

本記事が、倍音を含んだ歌声の練習の一助になれば幸いです。

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