マイクの近接効果とは?発生する原理やカラオケでの対処法を考察! | ざワルーム

マイクの近接効果とは?発生する原理やカラオケでの対処法を考察!

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楽器の仕組み

マイクの近接効果とは、マイクが音源に近づくと低音が強調される現象を指します。この効果は、マイクの特性を大いに発揮するために搭載された機能の1つです。

また、カラオケなどでマイクを使用する際においても、マイクの近接効果を知っていると役立つケースもあります。

そこで、今回はマイクの近接効果が起こる原因からカラオケでの影響を考察します。

マイクの近接効果が起こる原理

近接効果は、マイクに内蔵されているマイクロフォンが圧力勾配を捉えるときに生じます。
圧力勾配とは、速度や圧力が位置によって変化する割合です。そのため、上記のケースではマイクロフォンが感知する音波の圧力差の割合を表します。

本項では、マイクの近接効果を以下の3段階に分けて解説します。

なぜ音波の圧力差が生じるのか?

カラオケなどで使用される一般的なマイクは、声から生じる音の波でマイク内の振動板(ダイヤフラム)を振動させ、電気信号に変える仕組みです。

上図は、マイク収音部の内部を示したものです。マイクは、収音部の正面および背面から音波を受け取り、ダイヤフラムの表と裏へと伝えます。
この時、ダイヤフラムの表側(マイクの正面)に受ける音波は、背面に受ける音波よりも早く伝達されます。そのため、マイクロフォンが感知する音波に圧力差、つまり音量の差が生じるのです。

音波の圧力差が及ぼす影響は?

マイクに伝わる音波は、ダイヤフラムが感知する圧力差によって音量を、振動数によって音程を出力します。
下の図は、低い音(周波数が低い)高い音(周波数が高い)を表した波形です。
また、この波形を一定時間で切り取ると、低い音の振幅が小さくなり、高い音の振幅が大きくなる性質(勾配)を示しています。
そのため、マイクは低い音の音量を小さく、高い音の音量を大きく感じ取るとわかります。

しかしながら、音程が低くなるにつれてダイヤフラムが感知する圧力差が少なくなる性質は、音程が低くなると音を感知しにくくなると言えるでしょう。

そのため、マイクは音程(周波数)による違いを無くすために補正を施しており、上図の様にどの周波数においても均一な応答を得られるように設計されています。

なぜ低音が強調されるのか?

マイクの捉える音波は、音源(声)から遠ざかるにつれて影響度が小さくなる性質(減衰)を持ちます。この性質と前項で述べた音波の圧力勾配を合わせて描くと、以下の様に表されます。

  • 音源が遠い場合

上図は、音源がマイクに対して遠い場合における、特定の位置での出力音および勾配・減衰の成分を表しています。
上図では、補正前の勾配成分が減衰成分と関与していないため、補正後の出力も音程の高低に限らず均一になっているとわかります。

  • 音源が近い場合

上図は、音源がマイクに対して近い場合における、特定の位置での出力音および勾配・減衰の成分を表したグラフです。

上図では、補正前の音程が低くなると勾配成分と減衰成分が公差し、出力音にも変化を与えているとわかるのではないでしょうか。
この状態で、圧力差(音量)の勾配を補正すると、低音部が強調される結果となります。

また、上記の傾向は音源が近くになるにつれて減衰成分が少なくなる(上図における減衰成分の線が上昇する)性質を持ちます。

そのため、マイクが音源に近づくにつれて低音が強調される結果となるのです。

なお、近接効果は主に指向性があるマイク(ダイナミック型マイク)で顕著であり、全方向性マイクでは近接効果はほぼ生じません。

近接効果がカラオケに与える影響を考察

カラオケでは、マイクを使用することで歌声が増幅されるため、近接効果による音質の変化も無視できません。
そのため、マイクの近接効果の影響を受ける範囲を知ると、より良いパフォーマンスにつながると期待できます。

本項では、マイクの近接効果が起こる周波数(音程)と距離を知り、カラオケでの歌唱法を考察します。

近接効果が起こる周波数は?

マイクの近接効果は、機種による際はあるものの、概ね200Hz以下の周波数帯で最も影響が大きいと言われています。
200Hzの音階は、以下の図のようにlowの範囲に属しているため、男声の平均声域よりもさらに低いレンジになります。

したがって、カラオケでは低音部(low)の歌唱時に声量をやや少なくして歌うと、音の高低に限らないバランスが取れた歌声になると言えるでしょう。

近接効果が起こる距離は?

マイクの近接効果は、マイクと音源(声など)の距離が30cm以内にあるケースで顕著に表れると言われています。
そのため、カラオケなどマイクを使って歌唱する際は、ほとんどのケースで近接効果が生まれると言っても過言ではありません。

また、近接効果の特性により、マイクと音源が近ければ近いほど、低音部(low)が強調されます。そこで、低い音程を強調したくない場合は、少しマイクの距離を離して歌うと良いと考えられます。

歌唱表現への影響を考察

マイクの近接効果を理解すると、歌唱時の表現力(特に抑揚)の向上に活かせると考えられます。一般に、高い音程の方が低い音程よりも声量を出して歌います。
そのため、音域の広い作品では、音程による声量差を持って抑揚を付けられると期待できるでしょう。

しかしながら、マイクの近接効果による補正を受けると、低音部の音量が強調され高音部との音量差が少なくなるケースも否定できません。

そこで、高音部と低音部の対比によって抑揚を付けたい場合は、低音部で少しマイクを離して歌うと聞き心地の良い表現につながると言えるでしょう。

マイクの近接効果とは?発生する原理やカラオケでの対処法を考察!まとめ

今回は、マイクの近接効果の原理から紐解き、カラオケでの対処法を考察しました。

マイクの近接効果は、マイクの特性により低音部が強調される効果です。また、音源から30cm以内で影響が出ると言われており、カラオケで歌う際では概ね影響を受けると言えるでしょう。
そのため、カラオケでの歌唱時は低音部で少しマイクの距離を離し歌うと、バランスの取れた音量になると期待できます。

本記事が、歌唱技術の向上につながれば幸いです。

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