精密採点Aiの表現力がいつも低い!
表現力の点数をアップさせたい!
そう感じている方も、中にはいるかもしれません。
そこで、表現力における抑揚・しゃくり・こぶし・フォールの影響度や目安を知れば、表現力の練習の助けになると期待できます。
今回は、表現力で高得点を取る目安をざワルームで採取した900曲以上の歌唱データより紐解いてきます。
表現力で90点を越える目安は?
ざワルームで採取した歌唱データに基づいた表現力で90点を超える目安は、以下です。
表現力(点) | 抑揚(点) | しゃくり(回) | こぶし(回) | フォール(回) |
---|---|---|---|---|
90 | 90 | 50 | 36 | 0 |
80 | 60 | 41 | 0 |
上記は、抑揚の点数が高くなると、しゃくり・こぶしの回数が少なくなることがわかります。
また、しゃくり・こぶし・フォールの回数は表現力の点数に対する影響度により配分しています。
そのため、こぶしの回数が目安と比べて非常に多く、しゃくりの回数が少ないケースでも表現力で90点を獲得することも可能です。
次項では、表現力の点数と抑揚・しゃくり・こぶし・フォールの関係性を調査します。
なお、表現力を含めた採点項目の詳細は下の記事に詳しく記載されていますので、あわせてどうぞ!
表現力における評価項目と得点の関係を調査!
表現力は、以下の4項目で評価されています。
- 抑揚:声量に強弱をつけて歌う技術
- しゃくり:低い音程から滑らかに本来の音程へと上げる技術
- こぶし:正しい音程の上で、音を細かく動かす(上下させる)技術
- フォール:本来の音程から滑らかに低い音程に下げる技術
本項では、ざワルームで採取した歌唱データを基に表現力と4つ評価項目の相関を紐解いていきます。
表現力と抑揚の関係
下のグラフは、表現力と抑揚の関係を描いた散布図です。
表現力と抑揚の相関係数は0.52であり、上のグラフのような正の相関があります。
そのため、表現力の点数を上げるには抑揚の向上が必要です。
しかし、精密採点Aiにおける表現力には前作精密採点DX-Gほどの影響力は無いので、あくまでも表現力を評価する項目の1つに留まります。
表現力としゃくりの関係
続いて、下のグラフは表現力としゃくり回数の関係を描いた散布図です。
表現力としゃくり回数の相関係数も、抑揚とほぼ同じである0.51です。
そのため、精密採点Aiの表現力では抑揚と同じくしゃくりの回数にも重点を置く必要があると言えるでしょう。
表現力とこぶしの関係
下のグラフは、表現力とこぶし回数の関係を描いた散布図です。
表現力とこぶしの関係は、抑揚やしゃくりよりも少し低い0.29の相関係数を持ちます。
しかしながら、こぶしに関しても正の相関を持つため、表現力の点数向上には必要な要素だと言えるでしょう。
表現力とフォールの関係
下のグラフは、表現力とフォールの関係を描いた散布図です。
表現力とフォールの相関係数は、0.06とほとんど相関がないという結果です。
フォールは、使用場面が限られており、回数がしゃくりやこぶしに比べて非常に少ない傾向があります。
そのため、表現力の得点には直接的な影響が少ないと考察されます。
表現力で高得点を取る目安は?
上のグラフは、表現力と4つの評価項目における重回帰分析を用いた予想点数と実際の点数の関係を描いた散布図です。
重回帰分析とは、複数のデータの関連性を明らかにする統計手法です。
今回のケースでは表現力の点数を目的変数とし、抑揚・しゃくり・こぶし・フォールを説明変数としています。
本項では、表現力と抑揚・しゃくり・こぶし・フォールの関係から推定される式を用いて、表現力で高得点を獲得する目安を紐解いていきます。
表現力と4つの評価項目における分析結果
表現力の点数と評価項目(抑揚・しゃくり・こぶし・フォール)における分析結果を以下に示します。
分析結果 | 重相関 R | 0.76 |
補正 R2 | 0.57 | |
観測数 | 924 | |
推定式の係数 | 切片 | 31.55 |
抑揚 | 0.41 | |
しゃくり | 0.28 | |
こぶし | 0.22 | |
フォール | 0.50 |
上の表における推定式の係数を用いて、評価項目(抑揚・しゃくり・こぶし・フォール)から表現力の点数を予想することができます。
そこで本項では、以下の考え方を用いて推定式の有意性を評価します。
1.表現力と4つの評価項目から分析結果の精度(補正R2)
表現力の点数と評価項目における”補正R2”は、0.57です。
”補正R2”は0から1の範囲で算出され、”1”に近いほど式の精度が高いと評価されます。
また、”補正R2”には統計学としての基準が無く、分析者の判断に委ねられています。
当サイトでは表現力の裏項目とも目される”倍音”や”音圧”の存在を加味し、0.5以上であれば精度が高いと判断します。
したがって、表現力の点数と評価項目(抑揚・しゃくり・こぶし・フォール)から推定される式は、精度が高いと言えるでしょう。
2.推定される式の有意性(有意F)
表現力の点数と評価項目における”有意F”は、4.3×10-169です。
有意Fは、一般的に0.05未満であれば有用な式が得られたと評価されます。
したがって、表現力の点数と評価項目から推定された式が有用であると言えるでしょう。
3.推定される式に用いる係数の有意性(P-値)
”P-値”は、各項目における係数の有意性を調べる値です。
以下の表は、関係式に用いる抑揚・しゃくり・こぶし・フォールそれぞれの係数の”P-値”を示しています。
評価項目 | P-値 |
---|---|
抑揚 | 1.2×10-95 |
しゃくり | 7.3×10-78 |
こぶし | 5.5×10-34 |
フォール | 0.08 |
”P-値”も”有意F”と同じく、0.05未満であればそれぞれに関係性があるという評価が一般的です。
したがって、上の表は抑揚・しゃくり・こぶしと表現力の関係性が強く、フォールの関連性があまり見られないという結果を示しています。
4.抑揚・しゃくり・こぶし・フォールの影響度(t値)
”t値”は、各項目の影響度を評価する値です。
以下の表は、抑揚・しゃくり・こぶし・フォールそれぞれの係数の”t値”を示しています。
評価項目 | t値 |
---|---|
抑揚 | 23.4 |
しゃくり | 20.6 |
こぶし | 12.7 |
フォール | 1.7 |
”t値”は、値が大きければ大きいほど影響度が高いことを示しており、値が”2”より小さい場合は影響がほどんど無いとされています。
上の表では、抑揚・しゃくり・こぶしの順に影響度が高く、フォールの影響度がほとんど無いと言えるでしょう。
以上より、今回の分析結果には有意性があり、抑揚・しゃくり・こぶしの影響を強く受けると言えるのではないでしょうか。
表現力の点数ごとにおける目安を調査!
本項では、重回帰分析に基づく推定式から表現力における各点数の目安を調査します。
以下が、表現力の点数を80点から100点までにおける抑揚・しゃくり・こぶしの目安を示した表です。
表現力(点) | 抑揚(点) | しゃくり(回) | こぶし(回) |
---|---|---|---|
100 | 90 | 70 | 56 |
80 | 89 | 50 | |
95 | 90 | 67 | 37 |
80 | 75 | 45 | |
90 | 90 | 50 | 36 |
80 | 60 | 41 | |
85 | 90 | 40 | 25 |
80 | 50 | 31 | |
80 | 90 | 30 | 15 |
80 | 40 | 21 |
以上より、表現力で90点を越えるには、しゃくりとこぶしを合わせて100回ほどを記録する必要があるとわかります。
したがって、表現力の点数アップには抑揚・しゃくり・こぶしの順にテクニックを磨くことがポイントだと言えるのではないでしょうか。
なお、上の表では最も影響度が低いフォールを目安として含めておりません。
しかしながら、実際に歌唱してフォールが出ると抑揚・しゃくり・こぶしの目安が少し緩和される可能性があるので、得意な方は多く入れてみても良いかもしれません。
【精密採点Ai】表現力がいつも低い⁉表現力で90点を超える目安を調査!まとめ
今回は、表現力で高得点を獲得する目安を歌唱データの統計により紐解きました。
精密採点Aiでは、抑揚・しゃくり・こぶし・フォールの順で表現力に影響を与えます。
そこで、本記事の目安が表現力の点数アップにおける一助となれば幸いです。
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