声量を上げる方法とは？声を発するメカニズムを含めて解説！

「大きな声で歌いたい」
「声量があれば、歌に抑揚を付けやすいのに」
と、感じている方もいるかもしれません。

声量を上げるには、声を出す方法に加えて、大きな声のメカニズムを知ると、身体に意識を向けた練習につながります。

今回は、声量を上げる方法を声のメカニズムから紐解いていきます。

声量を上げる方法

声量を上げるためには、体の使い方を知る必要があります。また、声の大きさは主に姿勢や呼吸および声帯と関係しており、これらをエクササイズすることで声量を増やすことも可能です。

本項では、姿勢と呼吸法および声帯（特に声門抵抗）のエクササイズを紹介します。

声量を上げるためには、正しい姿勢が基本です。具体的には、背筋を伸ばし、肩を開いて、リラックスした状態で立つ事を指します。

また、適切な姿勢は呼吸の改善にもつながります。
深い呼吸は、歌唱時に安定感を与え、声量アップや音程や表現力など歌唱力アップにもつながる重要な要素です。そのためには、上手な腹式呼吸が欠かせません。

下の記事には、腹式呼吸の仕組みや方法を詳しく記載しているので、あわせてどうぞ。

また、声量を上げるには、呼吸と同時に「口の開き」も重要です。広く口を開けると、より多くの空気が声帯に流れるので、声が大きく響きます。

このように、声量を上げるには正しい姿勢と呼吸法を身につけることが重要だと言えるでしょう。

声は、声門（声帯間の空間）に掛かる圧力が高くなるほど大きくなります。
そのため、深く呼吸し、声帯を使って空気の流れに抵抗（声門抵抗）を与えると、声量アップにつながります。

上記は、喉頭筋という声のトーン調節などに関連する筋肉を強化することで実現可能です。
喉頭筋は、以下のようなエクササイズで鍛えられます。

緩やかなハミングは、喉頭筋を活動させるのに役立ちます。
また、ハミングは鼻腔の響きを知るためにも役立ち、ひいては鼻腔共鳴を使った歌声につながります。

スケーリングは、音階を上下に歌うことを指します。上記を行うと、喉の筋肉を柔軟にすることが可能です。
そこで、高い音から低い音へ、または低い音から高い音へと歌う練習を重ねると、喉頭筋や音程の強化につながります。

ストローを使って息を吹き出すことで、喉頭部に適度な圧力がかかり、筋肉の働きを促します。この時、空気の流れが一定に保たれるよう意識することが重要です。

上記のエクササイズは、習慣として取り入れることにより、徐々に喉頭筋が強化されていきます。
なお、エクササイズを始める際には、無理をせず自分のペースで行うことが重要です。

声量を調整するには、声を発するメカニズムを理解することが大切です。また、声量を決める要素を知ると、身体を意識したエクササイズが実践できます。

本項では、声を発するメカニズムと声量を決める要素について解説します。

声は、肺からの空気が声帯を通り、音へと変換されて生まれます。そして、声帯を通過した音が口腔内および鼻腔内で共鳴し、多様な音色を奏でています。
共鳴する歌声については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてどうぞ。

このように、声の生成には肺、声帯、口腔および鼻腔を用いているとわかります。

声の大きさは、主に以下の３要素によって構成されます。

呼気圧は、肺から声帯に掛かる圧力を指しており、圧力が高くなるほど声が大きくなります。
そのため、腹式呼吸などによって呼気圧を増大させると、声が大きくなることはよく知られています。

しかしながら、肺からの空気が声帯の間（声門）を素通りすると、呼気圧が上がらず、声が大きくなりません。
したがって、大きな声を出すためには、声門にある程度の抵抗が必要となります。

声門抵抗とは、声帯が正中線に対して働く力です。上記は、呼気圧が一定の時、声門抵抗を高めると、声が大きくなる性質を持ちます。

また、喉周辺の筋肉に必要以上の力が入っていると、声門抵抗が高くなります。この時、力んだ声質になる点が特徴です。
さらに、声門抵抗を強めすぎると、声帯の振動が止まり、音が出ない可能性も捨てきれません。
一方、息交じりの声の場合、声門抵抗がとても低く、空気を多く使う発声となります。

したがって、大きな声を出すためには喉をリラックスさせて、適度に力を加えると良いとわかります。

声の大きさは、口の開きにも影響を受けます。そのため、大きな声を出したい時は大きく口を開ける意識が必要です。
特に、母音の発声時に口を大きく開くと、周波数特性により声が多くなる性質を持ちます。

しかしながら、口の開きは発する言葉に依存する点は否めません。そのため、声量アップには呼気圧および声門抵抗の訓練が重要だと言えるでしょう。

今回は、声量を上げる方法について、声を発するメカニズムから紐解きました。
声量アップには、正しい姿勢、深い呼吸、強い声門抵抗、大きく開いた口がキーワードです。

本記事が、声量アップや歌唱力アップにつながれば幸いです。