精密採点シリーズにおける採点項目の1つである安定性。
安定性の項目をマスターすることで、総合得点が飛躍的に伸びる可能性も少なくありません。
しかしながら、安定性の評価基準がわかりづらく、攻略法を見いだせない方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は精密採点Aiの歌唱データから各パラメータとの相関関係を紐解き、安定性の理解を深めていきます。
精密採点Aiにおける安定性とは?
DAMの公式サイトでは、安定性の定義を以下の様に記載しています。
「安定性」とは、音程が不安定に震えてしまっていないか、まっすぐに安定して発声できているかを評価します。
DAM公式サイト
上記より、DAM採点では安定性を以下の点で評価している考えられます。
- 正しい音程で歌唱できているか
- 正しい発声で歌唱できているか
そこで、次項では安定性の評価につながる「正しい音程」と「正しい発声」の具体的な要素を各パラメータとの相関関係から確認していきましょう。
安定性と各パラメータの関係性
精密採点シリーズの中で、安定性がリズムと並んで高得点を取りやすい項目です。
しかしながら、安定性が低いケースでの改善策を見出しにくい項目でもあります。
そこで、本項では精密採点Aiにおける安定性と各パラメータ(音程/表現力/ビブラート&ロングトーン/リズム)の相関関係から安定性の特徴を紐解いていきます。
各パラメータとの相関は?
安定性と各パラメータにおける相関関係を示すために、本項では相関係数を用います。相関係数とは、2つデータにおける相関関係を表す指標で、1(もしくは-1)に近ければ相関が強く、0に近ければ相関が弱いとされています。
以下は、当サイトにおける精密採点Aiの歌唱データを用いて、安定性と各パラメータにおける相関係数をまとめた表です。
項目 | 相関係数 | 評価 |
---|---|---|
音程 | 0.14 | 相関がほとんどない |
表現力 | 0.08 | 相関がほとんどない |
V&L | 0.50 | やや相関がある |
リズム | -0.03 | 相関がほとんどない |
上の表から、精密採点Aiにおける安定性は、ビブラート&ロングトーン(以下、V&L)と相関を持ち、その他パラメータ(音程/表現力/リズム)との相関がほとんどないことがわかります。
したがって、安定性の考察にはV&Lとの関係性をさらに掘り下げていく必要があります。
しゃくり/こぶし/フォールとの関係
精密採点シリーズにおいて、安定性の評価にはしゃくり/こぶし/フォールといった歌唱テクニックと密接な関りがあると、囁かれています。
項目 | 相関係数 | 評価 |
---|---|---|
しゃくり | 0.14 | 相関がほとんどない |
こぶし | 0.08 | 相関がほとんどない |
フォール | 0.50 | 相関がほとんどない |
上の図および表は、安定性としゃくり/こぶし/フォールの回数における相関関係を示したものです。
上記より、安定性としゃくり/こぶし/フォールには相関関係がほとんど無いことがわかります。
したがって、精密採点Aiにおける安定性はV&Lとの考察を深めることが攻略の糸口と言えるでしょう。
安定性とビブラート&ロングトーンの考察
前項では、安定性と各パラメータおよびしゃくり/こぶし/フォールといった歌唱テクニックとの関係性を確認しました。
上記では、安定性はV&Lと相関があり、その他の項目とはほとんど相関が無いことがわかります。
そこで、本項では精密採点Aiにおける安定性とビブラート&ロングトーンの関係を考察していきます。
ビブラート
ビブラートは、音程を上下に揺らして歌に余韻をもたらす歌唱テクニックです。そのため、音程の精度が高いケースを前提とすると、「正しい発声」=「声の震えがないか」につながる項目だと考えられます。
そこで、本項では以下の点から安定性とビブラートの関係を紐解いていきます。
- ビブラートの点数および秒数と回数の関係
- ビブラートタイプと安定性の点数の関係
1.ビブラートの点数および秒数と回数の関係
下の図および表は、安定性とビブラート(点数/秒数/回数)の相関関係を表したものです。
項目 | 相関係数 | 評価 |
---|---|---|
点数 | 0.45 | やや相関がある |
秒数 | 0.35 | 弱い相関がある |
回数 | 0.27 | 弱い相関がある |
上記より、ビブラートにおける点数および秒数や回数には、正の相関を持つことがわかります。つまり、ビブラートの点数が高い/秒数が長い/回数が多いと、「声が震えていない」と認識される可能性が高く、安定性の点数が高くなりやすいことを示しています。
2.ビブラートタイプと安定性の点数の関係
下の図は、ビブラートタイプ別の安定性の平均点数を示したものです。
上図より、Aタイプ(A-1/A-2/A-3)における安定性の平均点が、ビブラートを一度も検出していない”N”タイプよりも低いことがわかります。
これは、AタイプのビブラートはBタイプやCタイプと比べて細かい振動を繰り返すタイプのため、細かい声の震えをビブラートとして検出した可能性を否定できません。そのため、歌唱した楽曲の全域に渡って声の震えが検出されており、「正しい発声」と認識されなかったと考察されます。
一方、BタイプやCタイプにおいては、B-1/C-1よりもB-2/C-2の方が安定性の点数が高い結果となっていることがわかります。
上記は、深い振幅を持つボックス型のビブラートであるB-2/C-2を扱うには、安定した発声(正しい発声)が必要だからだと考えられます。
そのため、安定性を攻略するには、より点数の高いC-2(C-3?)タイプの会得や、B-2タイプの精度を高めることが近道だと言えるでしょう。
ロングトーン
ロングトーンは、一息で同じ音程を長く発する歌唱テクニックです。そのため、音程のフラつきを無くした「正しい音程」が評価される項目だということができます。
以下の図は、安定性とロングトーンの相関を示したものです。
安定性とロングトーンの相関係数は、0.39と弱い相関があることがわかります。
また、安定性と音程の相関関係がほとんど無い点とあわせて考えると、以下の点が考察されます。
- 音程:楽曲全体の精度を評価している
- 安定性:音程バーごとの音程精度を評価の対象に含めている
そのため、ビブラートやロングトーンを高精度で扱える場合、安定性の定義である「正しい音程」と「正しい発声」を満たしている可能性が高いと言えるでしょう。
歌声が震える理由と対処法は?
安定性は、「正しい発声」および「正しい音程」が評価対象です。そのため、綺麗なビブラートやロングトーンができていないケース以外にも、歌声が震えて発声や音程が不安定になると点数が下がると考えられます。
歌声が震える現象は、疲れやストレスなどから身体に力が入った状態で歌唱しているケースから引き起こされます。
震える声の改善には、まず姿勢を正してリラックスすることが必須です。深い呼吸やストレッチで身体をほぐし、発声に必要な部分の緊張を和らげることが有効です。
また、水分を補給して喉を潤すことも大切です。そこで、安定性の点数の低下が見られたら、刺激の少ない温かい飲み物(白湯など)での水分補給やうがいも有効だと言えるでしょう。
【精密採点Ai】安定性と各パラメータの相関を知って点数アップに繋げよう!まとめ
今回は、精密採点Aiにおける安定性について、各パラメータとの相関から歌声が震えた時の対処法までを解説しました。
安定性の項目は、ビブラート&ロングトーンとの相関性が強く、これらのテクニックの精度を上げると安定性の定義(「正しい発声」と「正しい音程」)の向上につながると予想されます。
本記事を参考に、精密採点Aiの安定性の向上に努めていきましょう。
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